カルトの世界から命がけで抜けてきたおじさんの奮闘記☆

とち狂ったカルト軍団から命がけで抜けてきたおじさんの物語やで~

行方不明になった男の子達

カルト学校では年に何回も合宿がありました。ほぼ一か月に1回ぐらいあるのではないかと思うほど合宿が多く。短いものが一泊二日、長くて一か月半と長さもマチマチです。
そんな中で四月末に開催されるスタート合宿というものがありました。四月に神戸、大阪、東京と各校で学生が増えるので、入学式と新入生の顔合わせを行う合宿となっていました。
私がいた頃は学生の数も多く、まだ4月だったので学生も多く約200人ほど参加しておりました。
 合宿の舞台はタマネギで有名な淡路島です。昼過ぎ頃に各校が集合し、スポーツが行われます。スポーツはもちろん野球一択です。(女の子はバレーボールです)初心者と経験者で分けられ、練習を行った後に経験者や上手いメンバーで練習試合を行います。他はその練習試合の観戦です。練習試合の頃には女の子舘も合流し、皆やたらと声援を送ります。

ぶっちゃけ野球が好きではない人間にとって練習試合なんかは全く楽しくありません。しかし、そんなことは口が裂けても言えないので、無理やり楽しんでおりました。
練習試合は教祖のオナニーみたいなもんですからね。しかも経験者や上手い子たちは教祖へのアピールチャンスと、俺は選ばれたんだという謎の選民意識があり、偉そうにふるまいます。それを助長するように女の子が声援を送るんですから、そりゃ調子乗りますわw

野球が終わり、風呂入って、晩御飯です。淡路島での合宿の晩御飯はいつも決まって鍋でした。さすが淡路島と言わんばかりに、海鮮類と野菜が豊富で美味しい鍋でした。合宿で楽しかったのは鍋の時間でしたね( ´∀` )

通常なら晩御飯を食べ終わり、皆部屋に帰って駄弁る時間だと思います。しかし、カルト学校の合宿の肝は「セミナー」です。セミナーという名の洗脳教育授業ですね
セミナーはカルト学校の一番ヤバい時間ですんで、後日別に書きますわ!)

夜20時くらいにホールに集まり、歌を歌って始まります。自己紹介を軽く行い、そこからセミナーが始まっていきます。しかし、この日は違いました。自己紹介が終わった後、スタッフと何名かの学生が騒ぎ出し、男の子が二人セミナーに来ていないと騒ぎ始めたのです。例え新入生であっても、眠くてしかなくても、体調が悪くても、出ないといけないのがセミナーです。セミナーに出ないという選択儀はなく、絶対なのです。だから200人のうち2人いないだけでも許されないことなのです。

スタッフ、男の先輩学生たちでその行方不明の男の子二人を探し始めました。
4~5人でグループを組み宿泊施設の周りをくまなく探すグループ、車で探しまわるグループ、高速バスで逃げたのかもしれない!と思い、バス乗り場まで走って追いかけていったグループ、近くの海岸を見回るグループ、と異常なまでの捜索を行いました。ここまでいくと怖いですよね( ´∀` )ちなみに私はめんどくさかったので、周辺をぶらぶらしてました。

そして1時間後、行方不明の男の子が見つかりました。ホールに戻ると、皆ピリピリしており全員眉間に皺を寄せ、怒号を発してました。前のほうに椅子が二つ置いてあり、そこへ行方不明になっていた男の子二人が俯いたまま座っています。それぞれの横には大柄のスタッフ(身長190センチ以上)が腕を組んだまま立って男の子達を睨みつけています。

そして全員戻ってきて、ここから地獄の説教タイム(詰め)が始まります。
男の子を囲い込むような形で座り込み、全員の視線が男の子2人に向けられます。


そして、

学生「お前ら何やったのか分かってんのか?」
男の子たち「………」
学生「みんなの楽しい時間、教祖様が作ってくれた時間を潰したんやぞ。ふざけんなや」
男の子たち「………」
学生「黙ってねえで何かしゃべれや。後、俯くなボケ」
男の子1(顔がこわばっている)「あ、ああの、そそその、えーと」
学生「何言ってのかわからねーよ!ちゃんと喋れや!」
男の子1「あああああ、はい、すいませんで。。」
学生(食い気味に)「最初はまず謝れよ、ずいぶん偉そうやな!」
男の子1「今言おうとしたんですけど………」
学生「口答えか!ホンマ上から目線やなお前!黙って人の話を聞け!」
男の子「………」

男の子は怒鳴り散らし罵声を浴びせ、女の子は「教祖様が命懸けで私たちを守ってくれてるのよ、命削ってることがわからないなんて人間じゃないわよ!あんたたち!」と泣き叫びながら罵倒してました。もちろん私も何回か彼らを怒鳴りつけました。

とまあ、こんな地獄のような説教タイムが1時間ほど経ったころ、

教祖が口を開きました。

教祖「君たちの想いはわかった。こういう時に、しかも人の為にキレる人間になってくれてるだとわかり僕はホッとしている。彼らは許せないことをした。しかし、彼らが悪いんじゃないんだ。彼らみたいな人間を作り出した一般社会や義務教育が悪いんだ。だから彼らも被害者なんだ。色々あったけど受け止めてあげてくれないか?」

と言った後、学生のほぼ全員が泣き出し「先生の優しさが嬉しいです!」と一通り叫んだあとセミナーは終了しました。

次の日、近くの海岸で遊んだ後、飯盒炊飯でカレーを作ります。男の子二人も気まずそうに海岸で座りながら海を眺め、一緒に無言ではあるもののカレーを作っていました。

合宿が終わり、帰り際に教祖がボソッと「彼らも本当の一歩が踏み出せるな」とどや顔で言ってたことを今でも覚えています。

そして合宿の次の日男の子二人は来なくなり、カルト学校を退学したそうです………

この話には後日談があり、実はこの男の子達は同性愛者だったらしく、いなくなったあの日、二人で布団の中に潜りこんでいたそうです。

その当時は知らなかったですが、教祖は側近、スタッフへ話し、一部のお気に入りの学生には話していたらしいです。

そして私がその事実を聞いたのが、教祖が酔っ払っている時でした。学生寮をカルト学校がいくつか持っており、私がその中の一つの寮に住んでいた時に教祖と何人かの学生でご飯を食べていたのですが教祖はめちゃくちゃ酔っており、学生(20歳超えてる学生)達に酒を進めており全体的に緩んだ雰囲気にはなってました。

そんな時に教祖が「実はあの二人は同姓愛者で、愛し合うがゆえにあんな事件を起こしてしまったんだよ。愛は怖いね~。君たちは愛に飲まれるなよw」と含み笑いを浮かべながら言っており「現実は小説よりも奇妙だね~」という一言が私の中で引っ掛かりました。
教祖との時間が終わった後、学生たちが口々に「キモイ」「ありえねえだろw」「ブサイク同士なのによくやるわw」と言ってバカにしてました。

次の日、教祖の一言と学生のバカにした発言が引っ掛かり、ちょっとイラついていた自分はスタッフに時間を作ってもらい、思いを伝えました。

私「昨日、教祖様が彼らの事カミングアウトしてましたけど、あの場で言うべきではないと思うんですよね。なんというか繊細な問題やし、生き方とかは人それぞれやと思いますから、ちょっと笑いながら言ってたのが、引っかかってるんですよね」
スタッフ「………」
私「他の学生がバカにしてるのもイラっとしてます。おかしくないっすかね?」と言った後、

スタッフ「そんなことにイラついてるの?おかしいでしょ君。彼らはそもそもあの時間を奪った犯罪者みたいなもんだぞ。怒りの矛先間違ってるよ。不健康な思考だな~」
私「……は、いやそれとこれとは話違くないですか?そりゃ皆の時間を奪うのはダメですけど………」
スタッフ「違くない。それは論理のすり替えだよ。君も彼らをかばってるってことは同じ犯罪者ということだよ。」
私「いやちょっと、○○さんの言ってることがよくわからないです。」

と言った瞬間、
スタッフ「わかった。君はダメだ。ここに3年もいるのに不健康だね。後輩の重しになってるよ。教祖様に報告するわ」と言い、スタッフは部屋を出ていきました。

そこから次は私が彼らと同じような状況で説教されることになりました。
この話はまた別に書きますわ。。。。